尼崎双星高校で、2022年11月に商業学科1年生80人を対象にキャリア教育イベント「ワザカタログ」を開催しました。学生が企業を取材してレポートする自社メディア「ワザカタログ」の事業の一環として、地元企業が高校へ出張する形で実施。プレゼンテーションや資料展示、仕事道具に触れる体験などを通して企業そのものの魅力や仕事内容を伝え、高校生たちは社員さんへ質問して交流を深めました。
地元企業が高校へ出張して行うキャリア教育イベント
シゴト図鑑「ワザカタログ」とは
弊社の教育事業の一つに、高校生・大学生が自らの目線で地元企業を取材して冊子とWebメディアで紹介する、シゴト図鑑「ワザカタログ」があります。
企業・団体やそこで働く人の技術力を「ワザ」、社員さんの仕事のスタイルや人柄を「カタ」、高校生・大学生が企業の取材や仕事体験を行ったレポートを「ログ」と名付け、地元・尼崎および近隣の企業や団体の魅力、仕事内容を伝えてきました。
シゴト図鑑「ワザカタログ」
尼崎双星高校とワザカタログ
2020年のVol.1制作時には、尼崎市立尼崎双星高等学校(以下、尼崎双星高校)の当時の生徒に企業取材・仕事体験へ協力してもらいました。翌2021年、Vol.2の冊子を持って同校へ訪問した際に先生方とお話をしたところ、ロボットや職業をテーマに授業を行うアイデアが生まれました。9月から始まった「課題研究後期」授業の一環として商業学科の3年生が地元企業3社を訪問。企業取材体験をして「ワザカタログ」レポートにまとめました。
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2022年度は1年生を対象に、企業が高校へ出向く出張型で実施
2022年に入っても新型コロナ禍で、企業見学やインターンシップを実施したくてもできない難しい状況が続きました。そんな中、高校の先生方からは「こちらから企業を訪問することは難しいけれど、企業から来ていただけるならぜひお願いしたい」とのご要望がありました。そこで、2022年度は、従来の学生が企業訪問する形式とは逆に、企業が学校へ出張する形で「お仕事紹介・取材イベント『ワザカタログ』」を企画しました。
また、2021年度は3年生を対象にしましたが、2022年度は高校卒業後の進路を1年生のうちから考え、進級時に就職か進学かクラスを選択するため、対象を1年生に変更。11月の開催当日は商業学科の生徒80人と教職員が参加し、大きな会議室で行いました。
「見る」「触れる」「話す」をテーマに交流
事前準備と練習、企業のプレゼン、道具の紹介と取材の3部構成
イベントは4時限目~6時限目を利用し、1時限ごとにテーマを設けた3部構成で行いました。
1部 企業交流の事前準備とインタビュー取材の練習
2部 企業が自社を紹介するプレゼンテーション
3部 企業ブースで仕事道具の紹介、生徒による取材
今回のイベントは、いわゆる合同企業説明会ではなく、地元にはこういった仕事があること、また、企業そのものの良さを知ってもらうきっかけづくりです。そのため、高校生も参加・行動する「交流」を重視し、「見る」「触れる」「話す」をテーマにしました。
「見る」=企業を紹介するポスター、チラシ、パンフレットなどを展示
「触れる」=企業の仕事道具や商品、資料などに触れる体験
「話す」=高校生が各企業の社員へ取材し、直接話すことで交流を深める
建設業や製造業の企業、こども園が参加
地元・尼崎の企業や団体から社長さん、園長先生といった責任者の方のほか、若手の社員や職員さんもご参加くださいました。高校生にとって、自分と年齢の近い若手従業員の話は「自分ごと」「ロールモデル」として届くため、若手の方にも来ていただきたいとこちらからお願いしました。
- 株式会社サージ・コア(建設業)
- 淀川加工印刷株式会社(製造業)
- 開明かしの木こども園(保育/社会福祉法人 樫の木会)
ワザカタログでの紹介ページ
株式会社サージ・コア
淀川加工印刷株式会社
開明かしの木こども園
4時限目:企業交流の事前準備
インタビューのコツとは
高校1年生が、企業で働く大人へインタビュー取材をして、レポートを書くことが今回の授業の課題です。初めの1時間を企業交流の事前準備の時間に充て、先生による企画趣旨説明の後、インタビューのコツをシンプルに伝えました。
インタビューのコツ
- 予備知識を入れておく
- 「会話」であることを意識する
- リアクションはしっかりと
- メモをとる
- 質問表を事前共有
また、事前にどんな企業・団体なのか予備知識を持てるよう、参加企業・団体の掲載された「シゴト図鑑『ワザカタログ』」を生徒に見てもらいました。
生徒同士で取材の練習をしてリラックス
今回は、取材練習用に「生徒同士のインタビュータイム」を用意しました。
「入学したきっかけは何ですか?」「今、楽しいことは何ですか?」とペアを組んでお互いに聞き合った結果を発表。すると、あちこちで楽しそうに盛り上がって和やかな雰囲気になり、取材のトレーニングもできました。
5時限目:企業によるプレゼンテーション
各社10分、スライドを使いわかりやすく
5時限目は、各社による自社紹介タイムです。それぞれ10分を持ち時間とし、SNSで日常的に情報収集をする今どきの高校生に響くよう、写真や動画といった視覚的要素を多く取り入れたスライドを使いながら説明しました。
6時限目:各社ブースで仕事・道具紹介、生徒による企業取材
企業ブースで仕事道具や製品について説明
企業プレゼンテーションの後は、80人の生徒が20人ずつ4グループに分かれ、各社の企業ブースでさらに詳しく仕事内容を聞きました。
サージ・コア様は建設に使う道具、淀川加工印刷様は食品用フィルム印刷で実際に作っているパンの包装袋、開明かしの木こども園様は行事など保育の様子がわかるチラシなどをお持ちくださいました。
弊社は動画撮影用の大きなカメラを持参。生徒からのリクエストで、使い方を教えてプロカメラマン体験を行いました。そのほか、産業用ロボットオペレーター育成事業「ロボメイツ」で使っているロボット教材も紹介しました。
社員さん・職員さんを囲んでグループでインタビュー
各社3人の社員さん・職員さんがそれぞれテーブルに分かれ、生徒6、7人が囲んでインタビュー取材を行いました。
「入社したきっかけや志望理由、仕事のやりがい、楽しいことや大変なこと」を共通の質問として、そのほかに自分の知りたいことを自由に聞けるようにしたところ、どんどん積極的に手が挙がりました。
弊社のカメラマンには、動画に慣れている高校生らしく、編集ソフトやスマホでうまく撮れる方法といった具体的な質問も。「高校生の方からぐいぐい来て、すごく交流できた。動画の知識の豊富さにも驚いた」と話していました。
生徒たちは一方的ではなく「会話」を意識した取材に加え、メモをとり、レポートでそれぞれ自分の言葉で表現することもできました。
イベントを終えて
参加された方々からのご感想
参加企業・団体の方からは、下記のような感想をいただきました。
「生徒さんを前にして、社員もインタビューを受けて良い刺激をいただきました」(淀川加工印刷様)
「たくさんの人数の若さあふれる高校生と交流させていただいき、とても充実した時間を過ごすことができました」(サージ・コア様)
「学生さんたちとのインタビュー、面白かったです。(参加した)メンバーは『堅苦しくなく、楽しかったね』と話しておりました」(開明かしの木こども園様)
企業と学校、社員と学生の交流。今回のイベントで手ごたえを感じたので、来年度も実施したいと思います。
まとめ
尼崎双星高校で、2022年11月に商業学科1年生80人を対象にキャリア教育イベント「ワザカタログ」を開催しました。学生の企業取材でつくる自社メディア「ワザカタログ」事業の一環で、地元企業が高校へ出張する形で実施。プレゼンテーションや資料展示、仕事道具に触れる体験などを通して企業そのものの魅力や仕事内容を伝え、高校生たちは職員さんへ取材をして交流を深め、記者としてレポートにまとめました。取材では積極的に質問が飛び、企業の方からは「刺激を受けた」との感想をいただきました。