初回授業ではまずエアグラウンドについて知ってもらい、2回目の授業でロボットがいよいよ登場。高校生は初めて見るアームロボットに驚きながら、操作やプログラミングに興味津々の様子で取り組みました。ロボットがモノづくりの現場で活躍する様子を動画で紹介したほか、「働くこと」を考えるキャリア教育の授業も行いました。
初対面で高校生の心をつかむには
YouTuber(ユーチューバー)とテーマパーク
「はじめまして、エアグラウンドです」。初回授業で初対面の生徒たちがやや緊張の面持ちで見つめる中、弊社社長の畠中はスライドを交え会社の紹介をします。「動画はYouTuber(ユーチューバー)と同じ機材で」「有名テーマパークで撮影」といったキーワードに高校生の目がキラリ。
「えー、突然ですが、このテーマパークの動画で、私(畠中)は大失敗しました。この動画で失敗したシーンはどこでしょうか?」とクイズを出したところ、生徒たちは緊張がほぐれたのか、「背景に映ってはいけないものがあった!」「カメラがブレているところ」など、次々に笑顔で回答してくれました。
ロールモデルとなる大学生がサポート役
「次の授業から大学生がサポートで参加します」。そう聞いてテンションの上がる高校生たち。
前回①の記事でもお伝えしたように、私たちの活動では「高校生と企業」に「大学生」がサポートで加わります。高校生にとって大学生は年齢が近く質問しやすい上、生徒たちの志望校として挙げられる関西大学や関西国際大学からも来るため、ロールモデルとして参考になるメリットがあります。
インターンシップ受け入れやコーディネートを通して弊社と連携する大学が増え、さまざまな学校からの参加者がいます。
大学生・高校生インターンシップコーディネート事業ワカモノ―ト
産業用ロボット操作初体験
時代はロボット、プログラミング
近年のロボット開発は目覚ましく、製造業やサービス業など幅広い業種で導入が進んでいます。私たちもその流れを感じており、中でもモノづくり企業の現場から「ロボットを動かすのに必要なオペレーターが足りない。今いるベテランに新しく覚えてもらうより、若い人を育てたい」との声を聞く機会が増えました。産業用ロボットを動かすプログラミングなどの作業を行う「ロボットオペレーター」の需要は高まる一方です。
産業用ロボット特別教育インストラクターが指導
実は、誰でも産業用ロボット作業に従事できるわけではなく、従事者には労働安全衛生法に基づく「特別教育」の受講が義務付けられています。弊社社長の畠中は特別教育を受講・修了し、さらに「産業用ロボット特別教育インストラクター」の有資格者であるため、指導の下で高校生たちは産業用アームロボット操作体験をすることができます。
「産業用ロボット特別教育インストラクター」とは
産業用ロボットの特別教育を担当するインストラクターの養成を目的として、特別民間法人中央労働災害防止協会(中災防)が実施している資格制度です。これを取得すると特別教育を行うことができます。
「ロボメイツ」の教育プログラムは「産業用ロボット特別教育インストラクター」有資格者が監修を行っております。
初めて見るアームロボット教材に興味津々
ロボットと聞くと「大きい、人型、難しい、音が大きい」。こんなイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。
今回の授業で使ったのはアームロボット教材で、机の上に置ける小型サイズながら産業用ロボットを模した本格的な仕様です。スタッフがパソコンのソフトでプログラミングした「移動して小さなブロックをつかむ」指示を、ロボットは忠実に遂行していきます。
高校生たちは初めて見るアームロボットに興味津々。「小さい!」「音が静か」「スムーズに動く」と驚きながら作業を見学し、実際に触ってみました。
高校生に親しみやすいゲームコントローラーのような形をした指示用の機器「ティーチング・ペンダント」の実物も紹介しました。
企業のロボット活用現場を紹介する動画教材
ロボットは現場でどのように働いているのでしょうか。高校生たちに見せたのは動画です。YouTuber(ユーチューバー)という言葉に高校生が即座に反応したように、物事を伝え、説明する手段として動画は今や欠かせません。地元尼崎のモノづくり企業で産業用ロボットを積極的に導入している「株式会社新征テクニカル」様にご協力いただき、アームロボットが溶接する場面を撮影しました。ほかにも人型ロボットが人間の隣で働く様子や、アームロボットの先にカメラを付けたら映像がどうなるかなど、ロボットの可能性を示す動画を紹介しました。
弊社の創業時の事業は動画制作を主としており、今でも柱の一つです。授業やイベントでは目的に合った動画や写真などで構成したオリジナル教材をつくることが可能です。
高校生にとって「働く」とは
働くことにネガティブなイメージを持つ高校生
「働くこと」に対し、大学生を交えてグループで意見交換をしました。高校生からは「親が残業で疲れて帰った姿を見ていると……」などまわりの大人の影響もあってネガティブなイメージがある一方、「そもそもイメージがわかない」との意見も。日々がんばって働く大人にとって、これはやや耳の痛い話でもあります。
私たちは「仕事の面白さや魅力を伝えたい」との思いで高校生や大学生とインターンシップなどで企業を訪れたり、リモートでつないだりしながら、見学や仕事体験、「ワザカタログ」での社員への取材などの活動を続けてきました。
この後、5か月にわたる授業を通していろいろな仕事に触れていく中で、高校生たちは少しずつ変わっていきます。
人間とロボットの協働が加速する未来
産業用ロボットは人間から仕事を奪う敵ではなく、共に働き、人を楽にする存在です。人間にとって危険な場所や汚れる場所でも作業でき、人が長時間行うと疲れてしまう作業でも続けられます。とりわけ、今まで「きけん・きたない・きつい」などいわゆる3Kのイメージがあった製造業などで労働環境の改善に役立っています。そんなロボットですが、操作する人=オペレーターがいないと動かすことができません。
ロボットを導入する企業は今後さらに増加し、人間とロボットの協働は加速の一途をたどるでしょう。企業には「高校生を採用してロボットオペレーターとして育てたい」とのニーズがあります。
高校生の感想
授業の後、高校生からは「普段生活を送っていく中ではわからない、産業用ロボットと私たちの未来についてたくさんの知識を得た。ロボットが関わることで、これからの時代に適合した継続的で安定している仕事や社会になっていくといいなと思った」との感想が聞かれました。
私たちはモノづくり企業とのつながりとITやロボットの技術を活かし、職業や仕事に対する高校生の視野を広げる一助になればと願って活動を続けています。
次回、尼崎双星高校編③のテーマは「高校生が小学生へ教える『リレー型体験学習』 Vol.1」です。